介護キーマンインタビュー

社会福祉法人福祥福祉会
運営本部長
福井良幸 さん

「生活」「人生」の充実を徹底的に追及。 「利用者本人の意思」が最優先。

福井良幸さん

法人の概要とご自身の経歴を教えて下さい。

1990年に現会長がアメリカで現地企業とアシステッドリビングホームを共同開発したときに、アメリカの高齢者は老人ホームに入っても自由に外出したり、ホームがダンスパーティーを開催したりと、生活を自分で決めて、楽しんでいることに共感し、自立と自由を重視した生活を行える大邸宅を作ろうと考え、95年に大阪府豊中市で事業を開始しました。現在、「豊泉家」のブランドで北摂を中心に高齢者介護・障がい者福祉事業を手がけています。また、2022年春には大阪府以外では初となる、兵庫県芦屋市で特養・ケアハウス・デイサービス・訪問介護などの大規模コミュニティを開設予定です。
 私は9年前に知人の縁で豊泉家と出会い、小売業界から転職しました。介護現場などを経て20年春より現職です。

法人の介護に対する考え方を教えて下さい。

「生命」「生活」「人生」は、いずれも英語では「LIFE」ですが、日本の介護現場では、「生命」が重視され「生活」「人生」の充実は後回しの傾向があると感じます。例えば「転んだら危ないので、ご利用者様はなるべく一人では歩かせない」などです。それに対して当法人では「コミュニティケア 自立・自由度の高い福祉で社会に貢献する」という理念に基づき、その方自身が何をしたいか決め、法人はその環境を整え、サポートします。仮にリスクがあっても、明らかに生命に危険が及ぶような場合を除き、選択肢を勝手に排除せず、ご利用者様やご家族の選択を尊重します。先ほどの例で言えば、まず「歩きたいか」を判断してもらい、必要であれば不安なく歩ける環境を整えます。また、コロナ禍の今は難しいですが、ご家族の同意があればご利用者様の外出は自由です。ご家族の要望で、保険外でヘルパーをコーディネートし、有馬温泉に行かれたこともありました。
こうした取り組みには、ご利用者様やご家族が希望や意見を遠慮なく言える環境が重要です。職員には「ご利用者様の要望をいかに実現させるかを楽しむ」ことを求めています。

人材採用で心がけている点は何でしょうか。

介護に関する知識や技術は必要ですが、あまりそれに縛られると視野が狭くなり、自由な発想ができなくなります。そうした点を考え、介護業界での勤務経験がない人材も多彩なサービスを行う上で貴重な戦力と捉えています。今年度25名の新卒入職者のうち介護を専門的に学んだ学生は3割程度です。民間の介護会社ならともかく、ある程度の規模を有する社会福祉法人では珍しいケースではないでしょうか。

教育研修で特徴はありますか。

「豊泉家モラル」として、100ヶ条の考え方・行動指針を定めています。基本的な考えに「利他の心」「損得ではなく善悪のモノサシで判断する」などがあります。「利他の心」では、100%利他ではなく、まずは利他の心51%・利己の心49%を求めています。その2%が大きな差となると考えています。また、日々の実践の中で得られる経験全てが教育研修という考えのもと、「失敗してもいいから挑戦すること、失敗してしまったら名誉挽回のためにもう1度挑戦すること」を求めています。

貴重なお話、ありがとうございました。

運営会社

社会福祉法人福祥福祉会

https://www.sf-fukusho.org/

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