介護キーマンインタビュー
アンジュ株式会社
統括マネージャー
梶本寛子 さん
ご利用者様もスタッフも「自由」を謳歌できるホーム。一定のルール下で飲酒や喫煙が可能。
会社とご自身の経歴を教えて下さい。
15年前に母が自宅で訪問介護事業を立ち上げ、その後、有料老人ホーム事業を開始しました。現在大阪市生野区、平野区、東住吉区で住宅型有料老人ホーム「介遊園」を運営しています。また、経営面で直接のつながりはありませんが、8年前には母が理事長になって社会福祉法人を設立しており、平野区で特養を運営しています。
私は、母とは別に飲食店などの事業を行っていたのですが、母がアンジュを立ち上げて間もなく手伝うようになり、現在に至っています。
運営する高齢者住宅の特徴を教えて下さい。
ご利用者様の安心・安全のために必要最小限のルールは設けていますが「自由な暮らし」を楽しんでもらうことを第一に考えています。入居する際には一人ひとりに「入居したら何をしたいですか?」と希望を聞き、不可能なことでなければ実現に向けて動きます。
例えば、「居室内のみ」「医師や家族が反対していない」など一定の条件を元に飲酒を認めています。お酒の好みは個人差がありますので、希望を聞いてスタッフがまとめて買いにいきます。喫煙も、限られた場所で電子タバコであれば可能です。昔は今よりも喫煙率が高かったのでタバコが好きなご利用者様も多くいます。認知症の人がタバコで不穏症状が収まるなどの効果も期待できます。
さらに、今は新型コロナの関係で禁止していますが、宿泊しなければ自室に彼氏彼女を招いても構いません。夫婦部屋を備えたホームもありますが、血縁関係のないカップルでそこに入居しているケースもあります。全ては「その対応が、その人にとっていい結果をもたらすかどうか」を判断基準としています。「他の高齢者住宅に入っていたが、ルール・禁止ばかりで息が詰まる」と言って当社のホームに移って来た人もいます。
スタッフ教育の面で心がけていることはなんでしょうか。
ご利用者様の身体を傷つけたりする恐れがなければ、ネイルをしたり装飾品を身に付けたりして勤務することを認めています。髪の色、ヒゲ、タトゥーなども自由です。スタッフに求めるのは「ご利用者様が望む生活を提供するために、柔軟な思考を持ち、必要であればすぐに行動に移せる」能力です。装飾品の有無や髪の色は、その能力に全く関係ありません。もちろん社会人ですので程度の問題はありますが、会社側でいちいち細かく規定するのではなく、スタッフ自身が「これで問題ないだろうか」と判断できる能力を養ってもらいたいと思っています。
言葉遣いも、ご本人やご家族の希望であれば、いわゆる「タメ口」も認めています。地域性やホームの価格にもよるでしょうが、当社は庶民的なエリアで展開しており、フランクな雰囲気を好まれる方が多いため、こうした対応にしています。
今後の事業展開については。
現在展開する大阪市東南部またはその周辺で新規開設をしていきたいと思います。これは会社としてではなく個人的な希望ですが、他では受け入れが難しい方専用の高齢者住宅を運営できればと考えています。
貴重なお話、ありがとうございました。
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