介護キーマンインタビュー

合同会社桑岡
代表社員
内田美智子 さん

医療特化型サ高住を2棟運営。ほかの施設で断られた人の受け皿に。

内田美智子さん

会社の概要と、ご自身の経歴を教えて下さい。

2016年12月、49歳の時に合同会社桑岡を設立し、翌2017年3月に訪問看護事業をスタートしました。社名の「桑岡」は、私の旧姓です。現在はそれに加えて、訪問介護、福祉用具、そして2020年より「ナーシングケア」のブランドで、医療特化型のサービス付き高齢者向け住宅を、大阪市西成区と東大阪市で運営しています。居室数はそれぞれ30、35です。
 私は看護師として30年以上病院などで勤務してきました。介護については訪問診療の医師に同行して高齢者施設に行く程度で、知識や経験は殆どありませんでした。
そんな私が介護事業を始めようと思ったのは、母がパーキンソン病を患っており施設に入居したことが理由です。私は母の入居費用を捻出するための仕事に手いっぱいの状態で、なかなか面会に行くことができませんでした。そのことを母が非常に寂しがっていたことから「いつか自分で面倒を見られる施設を作ろう」と考えました。訪問看護を始めて3年後の2020年6月に念願だった第1号施設「ナーシングケアそら」を開設し、母も父も入居する運びとなりました。

介護や高齢者住宅運営について、重視していることやモットーなどを教えて下さい。

母が入居する場所を探していて多くの高齢者住宅・施設と話をしていて実感したのは、ほとんどが、入居前は「どのような方にも対応できる体制を構築していますので安心です」「最期までここで暮らせます」といっていても、実際には病状が進行し医療ニーズが高くなると、住み慣れた施設で居住を願っても「うちで面倒をみるのはもう無理なので、退去して下さい」と言われてしまう厳しい現実があることです。
 そうした経験もあり、「ナーシングケア」では、ほかの高齢者住宅・施設では医療ニーズが高い為に断られた人たちの受け皿になることを最大の目的にしています。実際にALS、パーキンソン病、HIV、腹膜透析、がん末期などの疾患を抱えた人が多く生活しています。「費用面での折り合いがつかない人以外は、私たちからは断ることがない」というのが会社の基本理念です。

医療依存度が高い人が多いということは、看取りにも力を入れているのですか。

2棟合計で65室と小規模で、開設して3年強という短い期間ですが、すでに多くのご利用者様を看取っています。ご本人やご家族が「病院で最期を迎えたい」と希望されない限りはホーム内で看取ることが多いです。よく「ホスピスのような施設ですか?」と聞かれるのですが、ホスピスですと、ガン末期の人など、特定の疾患を持った人専用の施設というイメージになってしまいますので、ホスピスという名称は使っていません。また、最近では最期の時間を過ごすためだけに入居をするというケースも少なくありません。入居者様とご家族様が安心、安全に過ごせるためのハード・ソフトを整えることに力を入れています。

貴重なお話、ありがとうございました。

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