介護キーマンインタビュー

株式会社1983
共同代表者
今仲 学 さん

館内通貨で保険外サービス提供50年ぶりに映画をスクリーンで

今仲 学さん

会社や経歴について教えて下さい。

介護現場勤務を経て、高齢者住宅入居相談事業や介護事業コンサルティングを手掛ける会社を立ち上げました。その業務の中で、従来の高齢者住宅に様々な問題があることを実感しました。理想の高齢者住宅を運営したいと考え、同じ高齢者住宅入居相談事業を経営する看舎桂太と共同で2015年に設立しました。2018年に大阪市内にサービス付き高齢者向け住宅「一家団蘭あさひ」を開設しています。

現在の高齢者住宅の問題点とは。

例えばスタッフ確保ですが、「求人広告で採用する」という考えで、しかも経験者や介護を専門に学んだ学生にこだわりがちです。また、収入に占める介護保険の比率が高い点も問題と考えています。

それらに対して、一家団蘭あさひではどのような工夫をしていますか。

介護保険依存からの脱却には、館内通貨「だん」制度があります。例えば、ご利用者様がスタッフの仕事を手伝ったり、機能訓練に取組んだりしたら「だん」を支給します。「だん」は館内売店で使えるほか、3000だんで1時間の保険外サービスを受けられます。あるご利用者様は「50年ぶりに映画館で映画をみたい」と、自主的に機能訓練を行って1万2000だんを貯め、スタッフと一緒にタクシーで映画を見に行きました。大変楽しかったそうで、その後もう1回行っています。

スタッフ確保については。

例えば、月に3000円まで書籍代を補助します。レシートを提出するだけで、読書レポートは不要です。マンガでも構いません。本で知識や情報を得ることよりも、「この本が面白い」「私もこのマンガが好き」などスタッフ間のコミュニケーション活性化を期待しています。
 また、スタッフが他のスタッフに対して、感謝したいことなどをカード書いて渡す制度も導入しています。この制度自体は珍しいものではありませんが、当社では1ヵ月に最も多くのカードを書いた、最も多くのカードをもらったスタッフ両方にインセンティブを支給しています。これにより皆が多くのカードを書くようになります。すると「自分がどのような業務をすれば、誰がどのように助かるのか」を把握できます。その積み重ねで業務の効率化が進みます。
採用に際しては介護以外の専門性や特技も重視し、その特技を活かせるような仕事ができるようにしています。例えば元料理人のスタッフもおり、今では食イベントを自分で企画、運営するまでになっています。こうした取組みにより、既存スタッフの紹介による入社が増えています。

理想の高齢者住宅は運営できていますか。

満足度としては70%程度です。保険外サービスを重視している高齢者住宅ですから、もっと様々な内容のサービスがあって然るべきです。「高齢者住宅ではNGなのでは?」と思えるようなものでも構いませんので、新たなアイデアがスタッフからどんどん上がってくるような雰囲気になれば思っています。

貴重なお話、ありがとうございました。

運営会社

株式会社1983

http://1983.co.jp/

介護キーマンインタビューTOP

関連施設