介護キーマンインタビュー

株式会社トラストリレーション
ゆかりの郷逢喜苑施設長
中川智宏さん

利用者の夢を毎月1回実現。「有名人に会いたい」も。

経歴を教えて下さい。

介護業界での経歴は22年になります。以前より「20年働いたら地元である和泉・泉大津の高齢者の役に立ちたい」と考えていました。田井社長とは共通の知人を通じて知り合い、介護に対する考え方などに惹かれて2年前にトラストリレーションに転職しました。

「ゆかりの郷　逢喜苑」の特徴はなんでしょうか。

ご利用者様一人ひとりに合った生活の提供です。そのためには、ご利用者様を「知る」ことが重要です。アセスメントの書類ではわからないこともたくさんあります。
新規入居がある場合、自宅が近くであれば私がその周りを1時間程度徒歩や車でまわるようにしています。「どういった店で買物をしているのか」「近所付き合いが密な地域なのか」などといったことがわかれば、その方の生活がより具体的に見えてきます。また、契約の締結から実際の入居までの間にも数回は会うようにします。
こうして、入居前に可能な限りの多くの情報を得て、万全の体制で受入れができるようにしています。最近ではスタッフから「もっと情報が欲しいのですが」という声があがることも少なくありません。

個別の生活提供という点で、具体的に取り組んでいることはありますか。

日本の四季を活かし、四季に応じてご利用者様の夢を叶える「夢かな」というプロジェクトがあり、年に4回夢が叶うということになります。この日は、ご利用者様は介護保険を一切使うことなく、スタッフがついて外出などのサービスを提供します。

これまでにどのような夢を叶えてきましたか。

ある女性は、大相撲の遠藤関の大ファンで、居室内は遠藤関のポスターなどでいっぱいでした。「遠藤関に会いたい」と言っていましたので、100歳の誕生日に会えるように計画を進めました。全く何の伝手もありませんでしたが、様々な人の助けを借りて対面を実現させ、2ショット写真も撮ることができました。

入居者の中には、希望や夢を聞いても「特に無い」と答えることも多いかと思いますが。

そうした場合はこちらから提案します。例えば以前ピアノコンサートのチケットが入手できたことがありました。そこで「音楽に全く興味がない」と言っていたご利用者様に「行ってみませんか」とお勧めしました。同行するスタッフも音楽には全く興味がない人にしました。実際に行ってみると、2人とも「とても面白かった。また行きたい」と口にしていました。
このように、人は何歳になっても新しい経験が刺激になり、人生に潤いをもたらすことができます。そして、ご利用者様にこうした経験をさせてあげられたことが、スタッフのモチベーションに繋がります。そのためか、ゆかりの郷　逢喜苑開設以来、人間関係ややりがいが原因での離職はありませんし、会社全体でも9年間で正社員の離職は1人だけです。

貴重なお話、ありがとうございました。