介護キーマンインタビュー

株式会社トラストリレーション
代表取締役
田井大介 さん

NGなしの介護で利用者の願い実現。1人ひとり違った生活を提供。

田井大介さん

会社の歴史などについて教えて下さい。

2010年に、当時勤務していた電気設備工事会社が新規事業として大阪府和泉市で古民家改修型のお泊りデイサービスを開業し、私が管理者を務めました。1年後に、その事業を分社し買い取る形で起業しました。その後15年に泉大津市にサービス付き高齢者向け住宅「ゆかりの郷 逢喜苑」を開設しています。

介護事業を手がける上で心がけている点は何でしょうか。

介護事業を検討しているときに見学したデイサービスで、スタッフが皆楽しそうに働いている姿を見ました。新規事業として介護を行うことになったのは「働いている人が笑顔になれる事業は素晴らしい」と考えたからです。この経験からスタッフが「楽しい」と思える職場環境の実現に力を入れています。そして、そのことは結果的にご利用者様の笑顔にも繋がります。

具体的に取組んでいることは。

「介護の仕事をルーチン業務にさせない」ということです。「ゆかりの郷 逢喜苑」にいる30人のご利用者様は、それぞれ違った人生を歩み、現在も違った生活を送ることを望んでいます。一人ひとりについてよく理解し、適したサービスを提供することが、仕事に日々変化を生みます。例えば、当ホームでは食事は湯煎するだけで提供できるものを採用しています。これでしたら、夜遅い時間に食事をしたいというご利用者様の要望にも応じることができます。

そのためには、スタッフが利用者の希望などをしっかり聞き取る姿勢が大事ですね。

介護現場で働くスタッフは、他の仕事をしている人に比べて、その能力が優れていると思います。認知症や発話が困難であるような場合でも、表情やそれまでの人生の経緯などから、相手の希望を読み取ることは介護スタッフでなければできません。スタッフがそのことを自覚できれば、自分の仕事にもっと誇りを持てるようになります。

ほかに、スタッフに対して求めることは何でしょうか。

デイを始めた当初、何か新しいことをしようとしても、スタッフが「危険だから止めましょう」「無理です」などマイナス思考から入ることが気になりました。デイでの話ですが、末期がんで余命2週間のご利用者様が「お城を見に行きたい」と希望したことがありました。こうした要望は「出先で何かあったら困るので」と断ってしまいがちです。しかし、もしこのご利用者様が自分の家族なら、どんなことをしても願いをかなえてあげたいと思うでしょう。そうした立場にたって、「どうしたら願いを実現できるか」を考えることを求めています。
 当社ではサービスに対し「これはNG」ということはありません。公序良俗や法に反しない限り、スタッフからの提案・意見もどんどん受入れます。スタッフには新しいアイデアを出してもらうため、常に新しい物に触れようとする好奇心や、楽しいことを素直に「楽しい」と感じられる豊かな感受性を持って欲しいと思います。

貴重なお話、ありがとうございました。

運営会社

株式会社トラストリレーション

http://trust-r.jp/

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