介護キーマンインタビュー
社会福祉法人ジー・ケー社会貢献会
理事長
椋本充士 さん
外食産業のノウハウ・経営資源活用。多彩な食イベントなどで生活に彩り。

法人の概要などを教えて下さい。
母体はうどんの「杵屋」、そばの「そじ坊」などのレストランチェーンを展開するグルメ杵屋です。1996年に東証一部に上場した記念に、地域への恩返しとして社会貢献事業として設立されました。97年に特養「グルメ杵屋社会貢献の家」を、2012年に特定施設とサービス付き高齢者向け住宅の複合施設「グルメ杵屋社会貢献大領の家」を大阪市内で開設しました。
介護事業の考えについて教えて下さい。
特養を開設するときに、当時の社長である創業者がこだわったのが「既存の施設のようにはしない」ということでした。自宅でプラスチックやアルマイトの食器を使って食事をしている人はいません、リノリウムやコンクリートうちっぱなしの床の自宅に住んでいる人はいません。自宅にいるときとなるべく同じ生活をしてもらおうと、食器は陶磁器などを使い、床にはカーペットをしくなどしています。
レストラン事業のノウハウや経験を介護事業にどのように活かしていますか。
当たり前ですが食事にこだわっています。「衣食住」という言葉がありますが、実際には「食」が占めるウエイトは他の2つよりも大きいと考えています。「食」という字は「人」と「良」の字の組み合わせです。食は人を良くするために不可欠なものです。
運営する2棟の高齢者施設・住宅とレストランチェーンでは、食材の仕入れ先を一部共通しています。レストランチェーンのメニューが食卓にあがることもありますし、年に数回はうどん打ちの実演イベントも行います。また、創業者は大阪の外食産業業界団体の役員をしていたことから、ほかの飲食店に協力してもらい、様々な食イベントを実施したりしています。
スタッフ教育などの面で取り組んでいることは。
グループ企業合同で研修を行っています。例えば社会福祉法人のリーダー・主任はレストランの店長研修に参加します。これによりサービス業としての考え方や人材マネジメントの方法などを学んでもらいます。逆にレストランの店長に、ホスピタリティを学ぶために特養の仕事を体験してもらうこともあります。こうして他業界のことを学べば、より多面的に物事をとらえられ、柔軟に、臨機応変に対応できる人材が育ちます。
求める人材像は。
「物事をいかにポジティブに捉えられるか」です。例えば母体であるレストラン業界は、昨今の新型コロナウイルス感染拡大で非常に厳しい環境にあります。しかし、こうしたときこそアイデアを絞り、何か新しいことを始めるチャンスであるともいえます。人は現在の状況が順調な時はそれに満足してしまい、なかなか新たな行動を起こそうとは思いません。ピンチのときこそ、それをチャンスに変えようという前向きな思考になれる人材を求めています。
貴重なお話、ありがとうございました。
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